ほんトノトコロ

小説を中心に読書感想文を掲載します。 書評の域には達しておりませんので悪しからず。 好きな作家は江國香織、吉田修一。

湊かなえの『母性』を読了しました。


◼︎嘘つきは誰だ


ある地方の県営住宅の中庭で女子生徒が倒れているのが見つかり、発見した母親が通報、「愛能う限り育ててきました」というセリフを言ったという新聞記事で小説は始まる。


事故なのか、事件なのか。
本当に母親は愛を能う限り与えてきていたのか。

そんな視点から娘、母親の独白、また事件を見つめる第三者から話は進んでいくが、湊かなえ作品の例に漏れず、誰が記憶を捏造しているのかを気にしながら読んだ。


新潮文庫で読んだが、解説の嘘つきテラーという部分がとても面白い。
著者のどんでん返しに慣れている人間は当然、クライマックスを予想しながら読んだが、結果的にはまたやられてしまった。

とても自分の読み方として共感できたので、こんな解説ができる間室道子さんという方は本当に素敵だなと。
一人称の「私」と「わたし」の違いもミステリーの常套句ではあるが、わかりやすく伝えていた。


マルチ商法で頭の良くなる薬を買い、娘に飲ませたシーンの母親と娘の発言内容の齟齬は面白い。ニキビの薬と言われて…なんて部分はまさに鳥肌。
そういえばこの作品はなかなか母娘の名前が提示されない。
名前が見えないことで顔をぼんやりさせる効果があったのかと思うけど、全体的な流れでいうとそこまで隠す必要はなかったかな。


90点。


湊 かなえ
2015-06-26



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