ほんトノトコロ

小説を中心に読書感想文を掲載します。 書評の域には達しておりませんので悪しからず。 好きな作家は江國香織、吉田修一。

今回紹介するのは又井健太著の『新小岩パラダイス』。

僕が住んでるエリアの町が舞台になってるということで、本屋で突発的に買いました。

帯には今野敏、北方謙三、角川春樹氏が絶賛と。カバーイラストもカラフルで良い。期待は高まるばかり。




ただ、結果は、微妙なところでした。ストーリーはドミトリー的なアパートでの共同生活がメイン。キャラクターの存在感もそれなりに立っていて、外見などの描写も丁寧だったので、どちらかというと実写化でより生きるような印象。

本当にテレ東のドラマとかでありそうな設定。まぁこれはポジティブな部分。


残念だったのは、僕が購買意欲を掻き立てられた新小岩の部分で、町の描き方があまりにも弱い。僕も地元民ではないし、新小岩で何か活動したことがあるかといわれれば苦しいけれど、やっぱりもう少し細かく書いてほしかった。多分、『新小岩』という三文字に釣られて買う人は多いだろうから。


一番目についたのは、文章力。ストーリーがなかなか味のある青春群像劇を紡いでいるので、多少の巧拙は置くにしても、比喩表現があまりにも貧しかった。
気にならない人は大丈夫だろうけど、僕は気にする。文体が一番のマイナスポイントかな。


全体的には石田衣良の池袋ウエストゲートパークに近い調子。もちろんテーマは違うけど、台詞の置き方や人物描写、社会の出来事をネタにするあたり何となく。


読後感は50点。「普通」のプラマイゼロではなく、「-3+3」のプラマイゼロです。

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